ネットサーフ日誌:平成10年4月


1998年4月29日水曜日 − エストロジェン補充療法、プロジェステロンの間違いでしたで済む問題か!
  • 以前女性ホルモンの1つであるエストロジェン=不老長寿の妙薬という話をしたけれども、つい最近それがとんでもない間違いであるということを知った。

    子宮筋腫で子宮と卵巣を摘出した後、ホルモン補充にエストロジェン(卵胞ホルモン)を使用し始めてから3年経ち、高血圧やストレスに対する過剰反応(冷や汗や動悸)、むくみ、性欲の減退、寝覚めがすっきりしない、疲れやすいなどの症状が次第に強くなってきているのに気が付いた。特に高血圧とストレスに対する過剰反応は、脳溢血の多い家系なので心配になって医者に聞いたら、「エストロジェンは高血圧に関係あることは知られているけど、ストレス反応の方はホルモンとは関係ない。更年期は人生の中でいろいろチャレンジの多い時期と重なるから、そう感じる人も沢山いるようだけど。」とかたずけられた。馬鹿にしないでよ。自分の体なんだからそんな区別ぐらいつくと思ったけど、それ以上聞いても無駄だと思ったから、そうですかと言って引き下がった。

    最初の一年間、パッチを使ってみて、その効力が薄れるのに気づき、2年目からは錠剤を使っていたのだけど、錠剤だと肝臓に負担がかかる。それで、高血圧との相乗作用を避けるため、またパッチを使うことにして、効力が薄れてきたらしばらく錠剤に切り替えてまたパッチに戻るという方法を取ることにした。

    パッチに切り替えてから、少し気分が良くなったように思ったので、しばらくそれを続けてみようと思っていた。ところが、先日、ハーブを販売している知人が主催するセミナーに招待され、好奇心で参加した折りに、エストロジェンを使っているけど気になることがある、と切り出したら、即座に You have to use natural progesterone. という答えが返ってきた。

    以前にエストロジェンだけでなくプロジェステロン(黄体ホルモン、これは卵巣で排卵が起きると分泌される。妊娠中は胎盤で大量に生成される。)も必要だと教えてくれた人がいたので、医者に聞いてみたら、それは子宮ガンの予防のために必要なもので、子宮がない場合は他にいろいろ副作用があってガンにかかる確率が高くなるだけという答えだったから、But, I don't have uterus. といったら、とにかくこれを読みなさいと The Progesterone Factor: A New Dawnという題の小冊子のコピーを手渡された。

    家へ帰って早速読んでみると、なんとも恐ろしいことに、エストロジェン補充療法はアメリカの医学界も製薬会社もいまだに認めようとしない重大な過失だというのである。

    真相は、プロジェステロン欠乏によってエストロジェン・ドミナンス(優勢)という状態になると、さまざまな機能障害(高血圧やストレスに対する過剰反応も、性欲の減退も、ヒゲも、脂肪の蓄積も、不眠も、子宮筋腫や子宮癌も乳癌もその一部)が発生する。しかもプロジェステロン欠乏は更年期になって始まるのではなく、排卵が不順になる35才ぐらいから始まる。(振り返ってみると、私の場合40才をすぎた頃からこれらの症状に気が付いていた。その多くは年のせいなのだろうと諦らめていたけれども、プロジェステロンで直る可能性があるというのは耳寄りな話である。)

    エストロジェンを長期使用する主な理由である骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の防止に関して言えば、エストロジェンは始めの2、3年間、骨の新陳代謝の中で、古い骨細胞の破壊吸収を阻止するという形で骨の空洞化を防止するけれども、その後は効果が薄れる。それに対し、プロジェステロンは骨細胞の再生に不可欠なもので、老若を問わずこれがないと骨粗鬆症が進む。

    合成の、プロジェステロンもどきである合成プロジェスティン(避妊ピルやホルモン補充療法で使用されている)には副作用やガンの恐れがあるけれども、本当のプロジェステロンにはエストロジェンの持つ発ガン作用を抑制する働きがあり副作用はない。しかも合成プロジェスティンはプロジェストロンの排卵と月経を制御する働きを模倣するけど、その他の重要な働きは模倣しない。

    この事を大多数の医者が知らない理由は、製薬会社は合成プロジェスティンの研究しかしておらず、プロジェステロンと合成プロジェスティンの違いを報告しないので、医者は製薬会社の提供する合成プロジェスティンの情報をプロジェストロンの情報だと思い込んでいるからだというのである。ちなみに、プロジェステロンは薬品としてではなく、モイスチャライザー・クリームとして健康食品店で売られている。(つまり、プロジェステロンには肌を潤しシワを防ぐ働きもあるということ。)

    この情報は、生理学の研究で既に知られていたプロジェステロンの効用を実際に骨粗鬆症の治療に適用してきたジョン・リーという町医者が、1990年にその治療効果を論文(Lee, John R., M.D., "Osteoporosis Reversal: The Role of Progesterone," International Clinical Nutrition Review (1990), 10:384-391.)に発表し、その後もさまざまな形でプロジェステロンが女性の健康でいかに重要な役割を担っているかという論文を公にしてきたにもかかわらず、製薬会社も大多数の医者も無視してきたか、あるいは知らずにいるというのが現状らしい。その被害者である女性としては、それは許せない犯罪的行為である。

    通販で注文したプロジェステロン・クリームはまだ届いていない。届いたら、1、2ヶ月後にその使用結果について報告することにする。

  • ドクター・リーの本は日本語にも訳されているという話。

    日本でもプロジェステロン・クリームが売られているのかどうか知りませんが、個人輸入も可能ですので、その方法について知りたい方は電子メールをください。 プロジェステロン・クリームの使用方法と効用その他の詳しい情報については、近々別にウェッブページを作る予定。作ったらホームページでお知らせします。


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