1997年3月15日 日曜日 − ミス・サイゴン

ナッシュビルへミス・サイゴンを見に行ってきた。これは「蝶々婦人」のベトナム版で、原作はフランス語だったらしい。これをオーケストラ席のど真ん中に陣取って見た。(電話で切符を買ったときは、真ん中の席はない、端から6番目が一番真ん中に近いと言われて買った切符が、実際には2階のバルコニーの袖を含めて端から6番目で、何のことはない一番端の席だった。でもなぜか真ん中の一番いい席が50席ほどぽっかりと穴があいたように空席になっていて、照明が落とされる時間になっても誰も現れなかった。切符にはno late admissionとあったから開幕直前にそっちの席に移らせてもらった。)

娘が見たいというので行ったようなものだから、大して期待もせずに行った。ちょっと考えれば名前から見当が付くような内容。蝶々さんの代わりにキム、ピンカートンの代わりにクリス、鈴木の代わりにエンジニアという設定。大きな違いは、最後に蝶々さんは息子を殺して自害するのに対して、キムは父親に息子を引き取らせるために自殺する。

同じチームの作詞作曲作成によるレ・ミゼラブルに比べるとスケールが小さい。でもこれがすごく泣かせるのである。歳のせいか涙もろくなったような気もするけど、娘も目が腫れていやしないかと気にするくらい泣いたらしいから、歳のせいばかりでもないらしい。キムを演じた歌手は一本調子で声が強いだけが取り柄だと思ったけど、彼女が歌うと反射的に涙が出てくる。キムの歌はどれも涙腺を刺激するように作られているらしい。夫に聞いたら目頭にジンと来たけど涙はこらえたという。

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