1997年7月22日 火曜日 − 夏

  • 今年は梅雨が長く、5月の末から6月一杯毎日のように雨が降った。7月に入ってようやく夏らしくなり、7月4日(アメリカの独立記念日)は湖畔で水遊びをして一日を過ごすにはもってこいの完璧な夏日になった。気温は華氏90°(約33℃)を超え、晴れ渡った空に心地よいそよ風。午後には夕立も来た。

    ボートに乗ったり、ウィンド・サーフィングのまね事をしたり、泳いだりした後、ドックの上で一休みして空を見上げていると、積乱雲がむくむくと北の空に立ち上がり、見る見る空を覆って雷が鳴り出した。風が強くなり、空も暗くなってきたから、ドックに出してあった椅子やタオルを片づけ、軒下に雨宿りの体制で夕立の過ぎるのを待った。雷が強くなり、どしゃ降りの雨と強風で外にいられなくなって、屋内に待避というシナリオを想定していたら、雨はほんの申し訳程度で、雷の音もすぐに遠ざかってしまった。

    肩すかしを食らった感じがしたけど、夕立は夕立。完璧な夏の日の午後を締めくくる役割は十分果たした。

    夏といえば、学生は夏休み。高校生も17歳を過ぎるとアルバイト先が増える。夏休みには夏休みのバイト(summer job) がいろいろある。多くはサービス業で、小売店やハンバーガー、ピザ屋さんなどでの仕事。でも、中には大きなR&Dの会社や国の研究所などで特別にsummer jobを用意して高校生に使い走りや研究の手伝いをさせ、その分野の仕事を紹介するという趣旨のものもある。

    娘は春にその手のsummer jobに応募したらしく、夏休み近くになって、ドクター何とかと名乗る人から電話が来て、量子力学の研究結果をWWWで一般に紹介するためのウェッブ・ページ作りという仕事に興味があれば面接に来るようにとの連絡があった。面接の結果、Summer Job 用のお金が国から出ることが確定したら来てもらうことになります、ということで待っていたら、採用の通知が来て、8週間びっしり来てもらいます、それができない場合は知らせるようにといったことが書いてあった。

    時間のこともお金のことも通知に書かかれていなかったので、娘に聞くと、お金は最低賃金だと思ったから聞かなかった、時間は融通が利きそうだけど半日なのか一日なのか知らない。半日だといいけど、となんとも頼りない返事。結局1日8時間、どうしても来れない日があれば、その分他の日に穴埋めすればいいということが分かった。

    ウェッブ・ページ作りは友達と2人で高校生のウェッブ・ページ作りコンテストに参加する予定で準備を進めていた所だったから、ウェッブ・ページ作りを勉強させてもらった上にお金までもらえるなんてと大喜びで仕事を始めた娘だったけれど、近頃はこれじゃぜんぜん夏休みの感じがしないから来年の夏は別の仕事探さなくちゃなどといっている。

    始めのうちは、HDが100MBしかない古いMACでものすごくスローだし、特別にセットアップしてくれた古いUNIXマシンはなぜかイーサネットでつながらなくて、これまた古いモデムでMACとつないでるからファイルのやり取りがスローでとぼやいていたけど、ウェッブ・ページ作りは順調に行っているらしく、Java ScriptやCGI、アニメーション、マッピングなどを完成するたびに、家へ持ってきて見せてくれる。暇を見て覚えようと思って買ってあった参考書はもっぱら娘が使っていて、今やすっかり娘に追い越されてしまった。

    このSummer Jobには、最後に仕事の内容を報告書にまとめて提出したものを審査するというおまけが付いている。規模も全国的なものらしい。過去の報告書を読んだ娘は、研究の手伝いをさせてもらっている人はいいよね、ちゃんとした研究報告が書けるんだから。それに比べれば、ウェッブ・ページ作りみたいな誰にでもできるような仕事じゃ勝ち目がないと悔しがる。(量子力学の理論的研究では高校生に手伝わせるようなことは何もないということなのであろう。)

    研究の手伝いといったって言われたことを言われたとおりにやるだけだろうから、自分で色々調べてプログラム書いてウェッブ・ページをまとめるって仕事の方がずっとチャレンジングでやり甲斐ある仕事だと思うよ、と夫がなだめていたけど、審査の結果はどうなることやら。

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