ネットサーフ日誌:平成9年1月


1997年1月14日 火曜日 − 女性ホルモン=不老長寿の妙薬?
  • 先週の金曜日に降った5センチほどの雪があちこちにまだ融けずに残っている。最高気温が氷点下の日が続いているためだ。予報によるとこの寒さは当分続くとのこと。

  • 以前女性ホルモンの1つであるエストロジェン=不老長寿の妙薬という話をした。そのときはそれ以上詳しいことを書く余裕がなかったのでここに改めてその詳しい内容を書くことにする。

    エストロジェンの効能をリストすると:

  • 骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の防止。
  • 動脈硬化(狭心症や心筋梗塞および脳梗塞などを引き起こす)の原因、高脂血症の防止。
  • 膣炎、尿道炎の原因となる膣壁や尿道壁の乾燥・硬化の防止と性生活の維持。
  • その他、全般的な体組織の老化の防止:皮膚の張りとつやの維持、筋肉の維持、乳房の張りの維持、白内障の防止、ぼけの防止、関節炎やリューマチの症状の軽減、防止。
  • 更年期障害の症状の除去。
  • つまり、エストロジェンがなくなると、頭の先から足の先まで、中も外も、骨の髄まで体が枯れてくるのである。この老化を食い止める作用に比べれば、ほっておいても数年でなくなる更年期障害の治療というエストロジェンの用途はマイナーなものと言っていい。

    もちろん、老化を完全に食い止めることはできないわけだけど、更年期の後エストロジェンを補充した人としなかった人の寿命や、心臓病、脳溢血の発生率、コレステロールのレベルなどを比較した研究ではエストロジェンの効果がはっきり出ているという。骨組織の空洞化はカルシュームをいくら取っても、エストロジェンの助けなしでは食い止めることができないことも分かっている。膣炎、尿道炎に頻繁にかかる人はエストロジェン・クリームを膣壁に適用すると膣壁や尿道の組織が若返り性生活も可能になる。

    ぼけに関する研究では、アルサイマーにかかるかかる率も低くなり、かかっても症状が軽いという結果が出ているという。また、アルサイマーの患者にエストロジェンを与えると、認知機能が向上するという結果も出ているとか。エストロジェンは男女ともに脳細胞の維持に重要な役割をはたす酵素の生成を促すと考えられているという。

    だから、乳癌などで、エストロジェンの使用停止を余儀なくされた場合、目に見えて老化が進む。夫の母がその例だ。当時は何も知らなかったから、乳癌の手術から順調に回復したとはいえ、手術の疲れで老け込んだのだろうと思っていた。頭の方も、傍から見る分にはそれほど衰えたようには見えないが、誰よりも本人が真っ先に、昔と同じように仕事ができないことに気が付いて、それまでリーダーとしてあれこれ引き受けていたボランティアの仕事も、今は軽い仕事だけを引き受けている。本人の自覚症状の記述をおおざっぱに意訳すると、あれこれごちゃごちゃ考えるのが面倒になったということのようだ。

    ちなみに、英語では年を取って以前ほど仕事ができなくなったことを人に説明するのに "I have slowed down in my old age." などという。頭がのろくなったという意味ではなく、生活全般のテンポが落ちた、つまり年を取ったのでのんびり暮らしているというほどの意味である。


  • ホームページへ|日誌インデックスへ|お便りは eueda@hiwaay.net上田悦子