ネットサーフ日誌:平成9年1月


1997年1月4日 土曜日 − エストロジェン
  • クリスマスからこっち、最高気温が15度から20度C前後の温かい日が続いている。この陽気ではクリスマスもお正月もなんとなく気分が出ない。Huntsville Timesには最近の日本ではお正月が特別の意味をもたなくなってきているというような記事が出ていた。連休その他の休日が増えた結果だとか。お店も元旦から開けるところが増えていると書いてあった。

    日本人は働きすぎだと言われていた時期があったけど、祝祭日と有給休暇の日数は合計すると日本の方がアメリカより多いように見える。さらに最近では週休2日制を採用するところも増えて、実際に働く日数も日本の方が少なくなっているのではないかと思われる。

  • 以前エストロジェン=不老長寿の妙薬という話をしたけれど、新聞に"Estrogen replacement is safe if used correctly"という題の、セーフではない場合もあるという含みの記事が載っていた。でもその記事にはセーフではない場合の具体例が詳しく書かれていなかったので、その分野の権威が書いた本を読んでみた。なにせ、子宮筋腫で子宮を摘出したとき、卵巣の検査がしにくくなるし、更年期も近いことだからと言われて、卵巣も取ってしまったので、今やエストロジェンの世話になる身の上。セーフでない場合があるとなれば、聞き流すわけにはいかない。

    基本的にセーフでない場合は4つある。1つは子宮を持っている場合で、この時エストロジェンだけを取ると、子宮の内壁が厚くなって子宮癌の元になる。でもこれはプロジェストロンを併用すれば月経を誘発して内壁を洗い流すことができるから問題ない。つまり、更年期になっても子宮があれば、まだ月経とお付き合いをしなければならないということだ。

    2つ目はエストロジェンに反応する乳癌がある場合や再発の恐れがある場合。エストロジェンが乳癌の元になることはないけど(最近の大方の結論)乳癌があればその成長を促進するからというのがその理由。この場合は乳癌の進展とエストロジェンの欠乏による障害とをモニタしながら綱渡りすることになるらしい。

    3つ目はアレルギー反応を起こす場合。中には本格的なアレルギー反応を起こしてエストロジェンを受け付けない体質の人がいる。その場合、薬用のエストロジェンには動物から取ったもの、植物から取ったもの、合成のものなどがあるので、その中からアレルギーを起こさないものを選べばよい。ただし、中にはどれも全く受け付けない人もいるという(自前のエストロジェンでは問題なかったはずだから、どこかに解決策がありそうだけどまだないらしい)。

    娘のピアノの先生Mrs. Dがその一人で、80を過ぎた今、咳込んだ拍子に骨が折れるというところまで骨粗鬆症が進行している。いろいろ実験的な薬や治療を試しているけど、いっこうに効き目がないという。植物性のエストロジェンが豊富に含まれている大豆蛋白や、朝鮮人参なども試してみたのかどうかは、まだ聞いていない。

    4つ目は肝臓や腎臓などの機能に問題があるとき。錠剤を服用すると腎臓からrenin、肝臓からangiotensinという高血圧の元になる酵素が出る人が20人に1人いる。この時は錠剤を服用せずに、パッチで皮膚から吸収するようにすれば問題はない。これと関連して、エストロジェンの錠剤を服用した場合、同じく肝臓で処理される薬を併用するとよくないケースがあったり、胆石をわずらう確率が高くなったりするという。

    そういうことなら、パッチ(ジェルを皮膚に擦り込むというのもあるそうだけど、アメリカではまだ出ていない)を使うのが一番安全ということになる。でもパッチにも問題がないわけではない。私が使ったパッチは、スコッチテープと似たような素材のもので、1週間貼ったまにしておくから肌が蒸れて赤くなってくる。それに肌はもちろん下着やシーツにも接着剤が移って洗っても落ちない。さらに問題なのは、私の場合、半年ほどで、皮膚からの吸収率が下がってしまったことだ。

    血液検査をして確認したわけではないけど、肌の張りや潤いがなくなったのは寒さのせいかと思っていたら、温かくなっても元に戻らず、結局錠剤に切り替えてみたら、元に戻ったという経験からの結論である。私の読んだ本はこの事について触れていないし、医者も首をかしげていたから、まだはっきりしたことは分かっていないのであろう。

    ただし、膣壁から吸収するようになっている膣用のエストロジェン・クリームについての説明に、最初のうちは大量に吸収されるが、十分補給された後は、周りの組織に必要なだけ吸収されるようになるので、吸収量が落ちるとある。しかもこのクリームはあくまでも局所的な効果しかなく、骨組織の空洞化を阻止するのに必要なレベルのエストロジェンをこの方法で取ることはできないという。素人考えでは、それと似たようなことがパッチを貼った皮膚で起きても不思議ではないとも思える。 こうして、エストロジェン服用の問題点が具体的に分かるに連れて、少なくとも後5年は自前のエストロジェンで間に合わせることができたのにと、卵巣摘出に同意したことを後悔しはじめている。もっとも不幸にして2%の確率の卵巣癌になったら、もっと後悔するだろうというのがその時の結論だったのだけど。。。


  • ホームページへ|日誌インデックスへ|お便りは eueda@hiwaay.net上田悦子