ネットサーフ日誌:平成8年3月


1996年3月23日 土曜日
  • 先週の日曜日は暑くもなく寒くもなくサンルーフを開けてドライブするには絶好の陽気だったから、ハンツビルから南西に2時間ほどBankhead Forestの森を抜ける道を夫と2人でドライブしてきた。どこかにNational Forestとあったから国有林かと思ったらそうでもないらしい。中には民家や私有地の看板が立っている所もあった。森林保護区ということなのかも知れない。

    生えている木もせいぜい直径20 ~25cm 程の(たぶん誤差が±10cm、要は巨木が見当たらなかったということ)針葉樹で原生林ではない。Bankhead Forestを抜けると木を伐採したままの裸の山がいくつも続いていた。切られて山積みにされている木はせいぜい15~20年物の細いものだった。近くに大きな製紙工場があるから紙の材料に使うのかもせれない。

    数年前、釧路の叔父を訪ねて行ったときに、十勝から釧路にかけて太平洋岸に沿った道を走ったことがある。途中に良く手入れされた森林が広がっていて、道路沿いに王子製紙だったか十条製紙だったか、製紙会社の私有林であることを示す看板が立っていた。森林=紙、日頃はタダの知識として頭の中に雑然としまいこまれている事実も裸の山を見ると、文明=私欲=自然破壊という公式に重なってくる。そう言えば、アラバマでは何とかいうキツツキの保護をめぐってもめているとかもめていたという話を聞いたことがある。この辺でのことかも知れない。

    途中に火の見やぐらが立っているのが見えたから、近くまで行ってみた。人影は見当たらず、はしごの登り口にある柵にも鍵が掛かっていた。乗り越えようと思えば簡単に乗り越えられる柵だったけど、上まで登るのは大変そうだったし、Closedという札も下がっていたから登るのは諦めた。

    Bankhead Forestを抜けてしばらく行くと、 Natural Bridge of Alabamaという看板が目に留まった。好奇心にかられて行って見ると岩が数百メートルに渡って露出している谷間であった。絵葉書の説明を読むと砂岩とある。名前の由来は岩が横から侵食されて、橋のように上だけが残っている所が数箇所あるからだった。一番大きな岩の橋は長さ45メートル、高さ18メートル。その下に立って見上げると、"Wow, it's big!"と言わずにはいられない大きさだった。

    お昼をとっくに過ぎていたから、途中どこかで昼食をと、道々食堂のたぐいを物色してきたけど、もう少し行けばましなところが見つかるかも、と言っているうちに3時近くになっていた。こういう時は土地の人に聞くのが一番と決めてNatural Bridgeの売店の店番をしていたおじさんに聞いてみた。近くのHaleyvilleという所にGallyというレストランがあるという。しかも"They serve real cuisine"という太鼓判。おじさんgourmetが思い出せなくてcuisineと言ったのかしらんとも思ったけど、いずれにしても田舎の小さな町のことだからと半信半疑で行ってみた。

    Gallyは町に入ってすぐの所にあった。Imperial Hotelの隣にあって、その一部のように見える。サラダ・バーとバフェー(ブッフェ)があってテレビではカー・レースを見せていた。どこにでもある普通の食堂のように見える。バフェーはありきたりの冷凍物を暖めただけのようなものだったので、メニューを見せてもらった。壁に"quail cooked to perfection"と張り出してあったのに希望をつないで、私はquail(うずら)のディナーを、連れ合いはエビ・フライのディナーを注文した。

    うずらは平らに開いて焼き鳥のように焼いてあった。塩気が足りないと思った他は文句の付けようがない出来。エビ・フライもエビの質からパン粉の付け具合、揚げ具合ともに文句の付けようがない出来栄え。付け合わせのベィクト・ポテトも甘みの強いポテトで完璧な焼き加減であった。これが「本当の料理」と呼ぶに値するかどうかは議論の余地があるにしても、味の分かる人が作っていることは確かだった。

    帰りは別の道を通ってBankhead Forestに入った。途中、渓谷にかかる橋があった。橋の袂に駐車場があってそこから散策路が川沿いに伸びている。人が入っているらしく車が数台駐車してあった。川のせせらぎも渓谷の眺めもよかったけど、日も傾きかけてきたので、散策路はまたの機会にすることにして帰路についた。


  • ホームページへ|日誌インデックスへ|お便りは eueda@hiwaay.net上田悦子