ネットサーフ日誌:平成8年4月


1996年4月12日 金曜日
  • 文芸春秋の4月号が来た。司馬遼太郎の死にちなんで特集が組んである。夫人の話しを興味深く読んだ。氏はここ5年ほど日本の国情を心配するあまり、小説をあまり書かなかったとある。日本のことは外から見ていると大変そうだけど、頭のいい人もたくさんいることだし、これまでも何とかしてきたのだから、これからも何とかなるだろう、ぐらいの気でいる。中にいれば、そう呑気にしてもいられないのだろうけど。

    たまに日本へ行っても、「テメエ、コノヤロ」で驚かされたり、阿川佐和子さん同様、「女だてらにあぐらをかくなんて」と糾弾されてびっくりしたりするほかは、平和で豊かな感じは変わらない。もっとも、長年アメリカで暮らしていて気が付いたことの1つは、日本人は夢を持たないということだった。私自身、将来は云々というたぐいの夢を描いた覚えがない。今の中途半端な自分の生き様の原因もその辺にあるのではないかと時々思ったりする。

    心理療法では、自分の望む状態をありありと思い描いて、それを頭の中にしっかり定着させた上で、そこへ到達するための知恵や気力を引き出すという方法を良く使う。明治維新からこっち、西洋に追い付け追い越せが日本の夢だった訳だけど、そこへ到達して、また新たな夢を描く時がやってきたともいえる。これも言われるようになって久しい課題だけど、今がその時なのかもしれない。

    今の混沌の日本から出てくる夢はどんな夢なのだろうか。

    今日はいろいろ雑談をと思って書き始めたら、話しが変な方へ行ってしまった。

    インターネットも若い男性を中心とした世界から確実に変化しつつあるようで、 山口正司さんが育児日記風の日記を公開している。平尾邦子さんは「ワーキングマザーの手抜きな晩飯日記」を始めて、「お母さんが作ったホームページ大集合」というリンク集も作っているとのこと。ただし、残念ながら知らせていただいたURLではアクセスできなかった。

    久しぶりで市立図書館へ行ってきた。焼き物に関する文章を英訳するのに、始めはインターネットで陶芸家のページを探していろいろ用語を確認しようとしたのだけど、話しが登窯だの窯変だのと専門的になってくると、インターネットでは用が足りない。第一陶芸のページは写真が多いからアクセスに時間がかかりすぎる。で結局図書館へ行って陶芸の本を幾つか借りてきた。幸いアメリカには日本で勉強した陶芸家も多いから、Kiln Bookという日本の窯の話しも出てくる本が見つかった。

    ついでにしばらく見ていなかった「家庭画報」も借りてきた。最近のは全部貸し出されていて、棚に残っていた去年のを借りてきた。美味しそうな食べ物の写真の数々を見てしばらく浮き世の憂さを忘れる。そのうち何かまねして作ってみよう。


  • ホームページへ|日誌インデックスへ|お便りは eueda@hiwaay.net上田悦子